Twitterで話題になっている「謎キャラクター」は、一見、何かの神話や伝説から来たような不思議な雰囲気を漂わせています。
しかし、その正体は意外にも19世紀フランスのオカルト辞典『地獄の辞典(Dictionnaire Infernal)』に登場する創作キャラクターの一つ。
フランスの画家ルイ・ル・ブルトンによって描かれたこのキャラクターは、ミームやジョークとしてSNSで人気を博し、ユーモラスかつ謎めいた存在として多くの注目を集めています。
この記事では、このキャラクターの背景や、なぜSNSでここまで話題になっているのか、その理由を探ります。
創作キャラクターに神話的背景はあるのか?
【こいつが王の国】
冨岡義勇〜(意味不明のあいさつ)じゃ今日から消費税2%ね(急に神政策) pic.twitter.com/jPdIBhGvrq
— センライ (@senrai4141) November 12, 2024
結論として、このキャラクターは特定の神話や伝説には登場していません。
ギリシャ神話のケンタウロスや日本の天狗のように神話的な背景があるわけではなく、創作として描かれた存在です。
ユーザーの疑問:このキャラクターは神話に基づくもの?
Yahoo!知恵袋などで、多くのユーザーが「このキャラクターは神話の一部か?」と疑問を投げかけていますが、現時点でそのような根拠は見当たりません。
どうやら、神話を連想させる「それっぽい」デザインに仕上げられた創作キャラクターのようです。
では、誰がこのキャラクターを描いたのか?
神話を思わせるデザインながらも、どの神話にも属さないこのキャラクター。
果たして誰が、どのような意図で生み出したのでしょうか?その背景には興味深い創作者の意図が隠されているのかもしれません。
ルイ・ル・ブルトンの挿絵:『地獄の辞典』に描かれた悪魔たち
このキャラクターは、フランスの画家ルイ・ル・ブルトンが描いた挿絵で、19世紀に刊行されたオカルト辞典『地獄の辞典(Dictionnaire Infernal)』に登場する悪魔の一つです。
『地獄の辞典』とは?
『地獄の辞典』は、1818年にフランスの著述家コラン・ド・プランシーによって初版が発行された書籍で、悪魔や精霊、迷信などに関する知識をまとめた辞書形式のオカルト辞典です。
ルイ・ル・ブルトンの描いた悪魔たち
1863年版の『地獄の辞典』では、ルイ・ル・ブルトンが69点以上の悪魔の挿絵を手がけています。
彼の描く悪魔は奇妙な姿と不気味さを特徴としており、後世の悪魔学や創作文化にも大きな影響を与えました。
このキャラクターもその一例で、独特なデザインが目を引きます。
このキャラクターの背景
このキャラクターは、特定の神話に基づくものではありません。
プランシーとル・ブルトンの創作によって生み出されたものであり、当時のヨーロッパの文化や宗教観を反映した擬人化された悪魔の姿が描かれています。
『地獄の辞典』とは何か?
『地獄の辞典(Dictionnaire Infernal)』は、19世紀のフランス人文筆家コラン・ド・プランシーによって編纂された、悪魔学やオカルトに関する百科事典です。
発行と改訂
1818年に初版が発行され、以後数度の改訂を重ね、最終版となる1863年の第6版では3,799もの項目が収録されました。
悪魔、精霊、迷信、占いといったテーマについて膨大な情報が掲載されています。
登場する悪魔たち
この辞典には、堕天使ルシファーや、七つの大罪を司る悪魔マモン、地獄の釜に油を注ぎ続ける下級悪魔ウコバクなど、多様な悪魔が登場します。
中でも、ベルゼブブが「巨大なハエ」として描かれている挿絵は象徴的な存在として知られています。
ルイ・ル・ブルトンの挿絵
1863年版には、フランスの画家ルイ・ル・ブルトンが手がけた挿絵が追加されました。
彼が描いた悪魔たちは独特の不気味さで、後の悪魔学やホラー文化に多大な影響を与えました。
また、これらの挿絵は数多くのグリモワール(魔術書)にも利用されており、現代でもオカルト文化に深く関わっています。
文化への影響
『地獄の辞典』は、単なるオカルト書籍に留まらず、19世紀フランスの怪奇趣味やロマン主義文学の流行にも影響を与え、重要な文化的遺産となりました。
その挿絵はパブリックドメインとして公開されているため、SNSなどでミームとしても親しまれ、現在でもその不気味なデザインは多くのメディアに引用されています。
なぜこのような画像が流行るのか?
1. ミーム文化による拡散
このようなキャラクターの画像がSNSで頻繁に投稿される背景には、インターネットミームとコミュニティ文化が影響しています。
SNSでは、「一見、意味不明」「どこか元ネタがありそうで詳細は不明」という曖昧さや謎が関心を引きやすく、特に奇妙で不気味なキャラクターはジョークや皮肉的な文脈で使われやすくなります。
たとえば、「This is me」「Hey, it’s me…」といったコメントとともに自己表現のシンボルとして使われるケースが増えています。
2. オカルトやレトロデザインへの関心
近年、オカルトやヴィンテージデザインへの興味が再燃しており、『地獄の辞典』のような古典オカルト書籍が再評価されています。
パブリックドメインであるため、自由に利用できるこの挿絵のインパクトあるデザインは、SNSでのシェアに最適です。
不気味なデザインや愛嬌のある表情がユーザーの興味を引き、「これは何か意味があるのでは?」「古い伝説のキャラクターではないか?」といった解釈を促すのです。
3. 承認欲求と共感の表現
SNS投稿には「共感してほしい」「注目を集めたい」という心理が背景にあることが多いです。
このキャラクターも、その奇妙さやユーモラスな外見から共感を呼び、いいねやコメントを得るために投稿されることが多く見られます。
また、風刺的な自己表現としてこのキャラクターが活用されるケースもあり、他者とのつながりや自己表現手段として重宝されています。
まとめ
Twitterで話題の謎キャラクターについて、その正体や背景を調べてみると、特定の神話に基づいた存在ではなく、19世紀のフランスで編纂されたオカルト辞典『地獄の辞典(Dictionnaire Infernal)』に収録された創作キャラクターであることが分かりました。
フランスの画家ルイ・ル・ブルトンによる挿絵として描かれ、後世のオカルト文化やミーム文化に大きな影響を与え続けています。
SNSで拡散される理由は、謎めいたビジュアルや奇妙な魅力がユーザーにインパクトを与え、「自分の分身」のように捉えるジョークとして使われることが多いためです。
このキャラクターは、今後もインターネットのミームとして、多くの人の興味を引き続けることでしょう。